inning interval

「遊び」をクリエイトしていかないタイプのブログ

ゴロを捕る時、何故“迷ったら前”なのか

小中高、大学・社会人草野球と野球をやってきて、守備練習の時に必ずと言ってもいいほど言われる事がある。

“迷ったら前”

今回は野球をやったことが無い野球ファンにもできるだけ分かりやすく理由付けしていきたい。

きっかけは日米野球第5戦のサードゴロ

勢いはあるが、やや大きく跳ねたゴロをサードの松田は定位置から斜め後ろ方向に1,2歩下がったあと、ハーフバウンドでキャッチしそのまま後ろに下がりながらスナップスロー、一塁はセーフになり内野安打となった。

動画が無いから分かりづらいが、このプレーだけで松田は2つのミスをしてしまった。

  1. 後ろに下がってバウンドを合わせたこと
  2. その後ろに下がった勢いのまま体勢を立て直さずに投げた。

この2つが何故ダメなのかは後述するとして、何故ゴロは前に出て捕らなければならないのかを考えていきたい。

迷ったら前、とは何なのか?

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絵が下手なのは目をつむってほしいw

この大きくバウンドした平凡なゴロだが、ボールを捕るタイミングは主に3つである。

①ボールが頂点から落ちてくるタイミング

最も球のスピードが遅く、最も捕ることが容易である。

②ボールがバウンドしてすぐ。いわゆる“ショートバウンド”

球のスピードは最も速いが、跳ねた場所にグラブを出せばいいのでボールを捕る位置の予測を立てやすい、実はコツさえ掴めば捕りやすいタイミングである。

③ボールがバウンドして、腰の高さまで上がってきた時点。“ハーフバウンド”

球のスピードも速く、キャッチする位置も自分の近くで最も捕りにくいバウンドである。

何故かというと、下から速い球が自分に向かって浮き上がってくる。それを自分の身体の近くでキャッチしないといけない。更に、バウンドした球なんてほとんど目視できない。(実際は経験で捕れるが、 好んで選択することはない。)

ゴロは捕るだけではない

ゴロは捕ったら1塁まで送球しないといけない。とすると、送球までいかに速く・スムーズに移るかが重要である。よって、前方(1塁方向)に出来るだけ勢いがあった方が1塁まで投げやすい。実は②で捕るとほぼ確実に前方に勢いがある。そうしないと②のゴロは捕れないからだ。③はどうしても身体を後ろに引きながら捕るので前方の勢いはほぼ無いと言っていい。①はケース・バイ・ケースで、前方に勢いがある時もあるが、基本的には一度その場に止まって捕る事が多い。

目の前に大きくバウンドしたゴロが来たら

その場で打球が来るのを待っていたら、①と③のポイントでしか捕れない。バウンドが合いにくくなる上に前方への勢いもない。大きくバウンドしているので打球を待っている間、ランナーが進んでしまう。よって、打球はとにかく1歩でも2歩でも前に出る事が重要だ。とは言っても闇雲に突っ込んで、たまたま③のポイントになってエラーしたら元も子もないので、前に出ながらスピードを調節して自分のベストポイントで捕球する。

しかし、捕るタイミングはなかなか難しい。

ゴロと言うのは必ずしも自分のベストポイントで捕れるものではない。目の前にゴロが来て、どうやって捕りに行くかどうしても“迷う”のだ。そこで“迷ったら前”なのだ。

前述したように、前に出ないとアウトにする確率が下がる。②のポイントを作れない。

さらに、足が止まると考えすぎてしまう、ということもある。

寝るときにベッドに入った時、ふと考え事をしてしまって眠れなかった事は無いだろうか。このプレーの一瞬のうちに「ヤバイ、どうしよう?」と考えてしまいゴロを捕るタイミングを狂わせてしまう。守備も打撃と同じように人それぞれにリズムがあって、ゴロを捕って1塁へ送球するという決まったリズムがある。そのリズムが狂うとすべてが狂ってしまう。ボヤッとした理論になってしまったがエラーの確率が上がるように思う。勢いもなくなるので、送球に向けて体勢も立て直さないといけない。

だから“迷ったら前”とよく言われるのだ・・・・と僕は思う。

松田は何故いけなかったのか

ここまでくれば答えはある程度出ているが、1歩下がりよりによって③のポイントで合わせてしまった。正直プロなら③でも余裕で捕れるのだが、どちらにせよ体勢は立て直さなければならない。それを松田は体勢を立て直さず後ろに下がったまま送球した。普通に考えて後ろに下がりながら投げたって勢いのあるボールは投げられない。野球で後ろに下がりながら送球すること自体はよくあるが、サードから1塁の距離だとかなりキツイ。当然ふんわりとした送球しか出来なかった。

体勢を立て直すにも時間がなかったとも言える。しかし、そもそも最初から前に一歩踏み出せば立て直さずに送球できた。決して速い打球ではなかったのでもっとより良いプレーをする余地はあったはずだ。結果的にこのプレーからMLBチームの得点に繋がった。

このプレーは、テレビ中継ではアナウンサーが「後ろに下がりながらのプレーですね」と一言言っただけで終わってしまった。わざわざスローでVTRまで出ていたのに。解説の佐々木さんに至っては一言も喋らなかった。こんなことでいいのだろうか、って人事ながらに思ってしまった。。。

②のタイミング・「ショートバウンド」で捕るコツ

最後に、草野球をやっている人にショートバウンドを捕る為のワンポイントアドバイス。ショートバウンドはバウンドした直後で打球がどう跳ねるかよくわからないし、闇雲にグラブを出しても弾いてしまう・・・と言うのがよくあると思う。

意識したい3STEP。1つめは“グラブを立てる”こと。

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ボールを弾く人の特徴にBのようにグラブが寝てしまうという事がある。Bの図を見てると何となくグラブに当っても上にボール行きそうじゃない?単純にボールが向かってくる方向に出来るだけ90°にグラブを当てると弾きにくいのだ。

2つ目“捕る時は少しグラブを前に押し出す”

捕る瞬間はAの角度のまま少し前に押し出す感覚で。

最後!“捕った後はその勢いでグラブを上げてはいけない”

前に押し出す勢いそのままグラブを前に振ると、バットとボールのように結局弾き合ってしまう。押し出すのは下斜め45°くらいまでで止めよう。

僕は小学生の時、少年野球チームでひたすらショートバウンドを捕る練習があった。この3点を意識するようになってから格段に捕れるようになった。でも結局は習うより慣れろ、と言う事で、少しこの3点を意識してノックなどの練習に取り組むといいかもしれない。

 

野球をやっていない人に分かりやすく・・・と意識したつもりが、気がついたら思いっきり野球をやっている人向けの話になってしまった。しかも、部活等をやっていた野球経験者からしたら、こんなもん余裕だろなめてんのかって言われそうな内容だ・・・w

僕は守備が大好きなので、もっともっと守備を面白く思ってもらえるようになれば幸いです。