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「遊び」をクリエイトしていかないタイプのブログ

「薬剤師に処方権」は「調剤権の確立」であり、職能の延長線上にある。

こんにちは。T.Yamatoです。
Twitterで話題になっている #薬剤師に処方権を 署名キャンペーン。
まずもって、立ち上げられた有志の先生方には敬意を表します。僕は賛同し署名しました。

僕みたいな弱小薬剤師には全く力はありませんが、多くの声が上がってくることが大事だと思ったので、3年更新していなかったブログを引っ張り出してきました。曖昧な立場で物申すのが一番カッコ悪いと思うので、明確に賛同の立場から僕の考えを書いていきたいと思います。

www.change.org

medical.nikkeibp.co.jp

制度設計や安全性の担保などの解決すべき諸問題は多くありますが、一部業務のタスクシェアの方向性自体は間違ったものではないと思います。

このキャンペーンはあくまで方向性を示すものであり、各論を示している訳ではないと捉えています。全てが認められなくても段階的なもので良いと思います。

(そもそも自分と全く同一の主張や考え方というものは存在しないので、全てが納得しないと頷かないのであれば、自身が旗を振るか政治家になるしかありません。)

 

「処方権」というワードで腰がひけてしまう薬剤師も多いかと思いますが、僕は「処方権」というより「調剤権の拡大」の一環だと捉えています。

(細かいことを言うと医師の処方箋によらないものは調剤では無いので、調剤権というとおかしいかもしれませんが、薬剤師の本来職能の延長線上にあるという主張だと解釈して下さい。)

  • 病院薬剤師による「プロトコルに基づく処方変更やDo処方」
  • 一部の薬局病院間で行われている「疑義照会簡略化プロトコル

などの、取り組みは多くの薬剤師にとって好意的に捉えられていると思います。
しかし、これらは全体で見ればごくごく一部でしか実施されていません。

(業界以外の方向けの説明:本質以外の部分、例えば薬をまとめる「一包化」という作業でも、現行制度では医師の許可が必要となります。一包化の判断については薬剤師の方が明らかに専門性があり熟知していると言えます。)

プロトコルがあるから困ってないよ」というのは、プロトコルを締結している病院の処方箋しか受け付けていないから言えるのであって、地域のかかりつけ薬局として様々な医療機関の処方箋を受け付ける身としては、多くの場合はそうではありません。

ちなみに一包化、半錠、粉砕の判断とかは現行法をいちいち変えなくても、事務通知一本でいけると思います。

この取り組みが全国で当たり前に運用できれば、医師・薬剤師・患者・医療機関など多くの方が助かるのではないかと思います。

また、カナダにあるエマージェンシーリフィルの導入も、「処方の一環」となりますが、恐らく多くの患者にとってメリットが大きいものだと思います。

そして、OTCの世界を見れば、薬局に来られた患者の相談に応じて医薬品を選び、販売するという当たり前の業務。これって薬剤師の本来業務ですよね?

「処方に対する責任」の問題ですが、既に薬剤師は調剤に対して大きな責任を担っています。
処方箋通りに調剤しても、処方内容に問題があれば薬剤師も責任を問われます。

プロトコルOTC、零売、、薬剤師が現状やっている業務の延長線上にこの主張があると考えており、大きく外れたものではないと考えております。

個人的には、軽微な疾患によるOTC・零売のさらなる活用や、薬局でのワクチン接種など、海外では当たり前に行われている薬局による地域住民の健康サポートをもっと取り組める環境になれば良いなと思います。

少なくとも風邪ですぐに病院に行く世の中は変えていくべきと思います。
(一言に風邪と言っても重篤な疾患が隠れているというのはその通りですが、薬局でトリアージすれば良いと思います。というか、そんなん日本だけやろ。)

別の視点で考えていくと、現状の処方箋に基づく調剤という仕事はこれから効率化により、減っていくと思われます。仕事が変わっていかなければ先細りであるという危機感もあります。

今は後発医薬品の変更調剤なんて当たり前ですが、前は「医薬品の規格やメーカーは医師の処方権である!」とか言われてたと思います。でも、気がついたら「調剤権の一環」として整理されました。

少しずつでも、より良い社会に変わっていくといいですね。